「公園から帰ろうとすると大泣きする」「寝る時間になってもやめられない」など、切り替えの苦手さに悩んでいませんか。
親もつい「早くして!」と声を荒げてしまい、落ち込むこともあるでしょう。
- 遊びをやめられず帰れない毎日
- 寝る前や朝の支度での大泣き
- 急な予定変更でのパニック
- 外出先での癇癪
- 声かけが届かないもどかしさ
切り替えの苦手さはわがままではなく、先の見通しが持てないことや強い集中など、子どもなりの理由があることが多いのです。

「あと少し」が通じなくて、毎回帰るのがひと苦労…。

わが家も毎日格闘中です。タイマーや絵、数字の工夫で少しずつ動けることが増えてきましたよ。
この記事では、療育施設で働きながら自閉症の息子を育てる筆者が、切り替えが苦手な子どもへの対策と癇癪への対応を紹介します。
今日から試せる工夫を、ひとつ見つけてみてください。
子どもが切り替えられない理由

子どもが切り替えられないとき、親から見ると「わざと言うことを聞かない」ように感じてしまい、ついイライラしてしまうこともあります。
しかし多くの場合、切り替えられない背景には、子どもなりの理由が隠れているもので、親の関わり方だけが原因ではありません。

理由が分かると対策も立てやすくなるので、まずは子どもが切り替えを苦手としやすい代表的な3つの理由から見ていきましょう。
先の見通しが立たない不安
切り替えが苦手な理由のひとつが、次に何が起こるのか分からないことへの不安です。
自閉症の子どもは先の見通しが立たない状況が苦手なことが多く、今していることを終えた後のイメージが持てないと、やめることに強い抵抗を感じやすいといわれています。
- 次に何をするのか分からない不安
- いつ終わるのか分からない不安
- いつもと違う流れへの戸惑い
「帰るよ」と言われても、帰った後に何があるのか分からなければ、楽しい今を手放すのは難しいものです。
次の予定を先に見せてあげるだけで、切り替えがスムーズになることもあります。
自閉症の幼児に見られる特徴については、次の記事でくわしく紹介しています。

好きなことへの強い集中
好きなことに強く集中できるのは、子どもの大きな長所でもあります。
一方で、集中しているときは周りの声が耳に入りにくく、途中で区切りをつけることが難しくなりがちです。
- 声をかけても気づかない様子
- 途中でやめることへの強い抵抗
- 「最後まで」へのこだわり
わが家の息子も、マグネットブロックなど好きな遊びに夢中になると、なかなか手を止められません。
集中している最中に急に止めるより、区切りのよいところを一緒に探すと、気持ちを切り替えやすくなります。
時間の感覚のつかみにくさ
「あと少し」「もうすぐ」といったあいまいな言葉は、時間の感覚がつかみにくい子どもにとって分かりにくいものです。
目に見えない時間の長さをイメージするのは、大人が思う以上に難しいからです。
- 「あと少し」の長さの分かりにくさ
- 時計が読めない年齢での待つ難しさ
- 楽しい時間ほど短く感じる感覚
そのため、時間を「見える形」にしてあげることが、切り替えを助ける大きなポイントになります。
あいまいな言葉を、目で見て分かる情報に置き換えることを意識してみてください。
切り替えが難しくなりやすい場面

切り替えが苦手な子どもには、毎日の生活の中で特に切り替えが難しくなりやすい場面があるものです。
どの場面でつまずきやすいかを知っておくと、その場面の前に準備をしておくことができ、親子ともに慌てずに済みます。
ここでは、わが家でも苦労することの多い3つの場面を取り上げて、それぞれでつまずきやすい理由と対策のポイントを紹介します。
遊びをやめて帰るとき
公園や遊び場から帰るときは、切り替えが特に難しい場面のひとつです。
楽しい遊びを終わりにして帰らなければならないうえに、帰った後の楽しみが見えにくいため、強い抵抗が出やすくなります。
- 公園や児童館から帰るとき
- 友だちと別れるとき
- お店のおもちゃ売り場から離れるとき
わが家の息子も遊びをやめて帰る場面で動けなくなることが多く、さまざまな工夫を試してきました。
帰る時間を遊び始める前に伝えておくだけでも、心の準備がしやすくなります。
公園から帰るときなど、お出かけ先でのわが家の工夫は、次の記事でもくわしく紹介しています。

寝る前や朝の支度
寝る前や朝の支度も、切り替えの苦手さが表れやすい場面です。
遊びやテレビをやめて寝る準備に移ったり、決まった時間までに支度をしたりと、時間の制限がある切り替えが続くからです。
- テレビや動画をやめるとき
- お風呂に入るとき
- 寝る準備を始めるとき
- 朝の着替えや登園の準備
毎日同じ流れで過ごすと、子どもが次の行動を予測しやすくなります。
わが家では、寝るまでの時間を息子自身に考えてもらい、タイマーを設定してもらうようにしています。
予定が急に変わるとき
予定が急に変わる場面は、見通しを大切にする子どもにとって大きな負担になります。
頭の中で描いていた流れが崩れることで、不安や混乱が一気に大きくなりやすいためです。
- 雨で公園に行けなくなったとき
- いつもの道が通れないとき
- 予定の時間が変わったとき
急な変更が避けられないときは、変更の理由と次の予定を、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。
「代わりに何をするのか」をセットで伝えると、子どもも気持ちを切り替えやすくなります。
目で見てわかる切り替えの工夫

切り替えが苦手な子どもには、言葉だけで伝えるより、目で見て分かる形で伝えるほうが届きやすいことが多くあります。
わが家の息子も目で見る情報のほうが理解しやすい視覚優位のタイプなので、タイマーや絵など見てわかる工夫を中心に取り入れてきました。

ここでは、わが家で実際に試してよかった方法と、今も試している途中の方法を、それぞれのコツとあわせて紹介します。
タイマーで終わりの時間を見せる工夫
時間を目に見える形にする方法として、わが家でよく使っているのがタイムタイマーのアプリです。
残り時間が色の面積で少しずつ減っていくので、時計が読めない子どもでも「あとどのくらいで終わりなのか」がひと目で分かります。
- 始める前の終わりの時間の約束
- 子どもから見える場所への設置
- 鳴った後の次の予定の声かけ
息子も、色が減っていくのを見ながら「もうすぐ終わり」を意識できるようになり、タイマーがないときよりは切り替えやすくなったと感じています。
終わりの時間を「見える化」することが、切り替えの第一歩です。
タイマーやホワイトボードなどの視覚支援は、次の記事でくわしく紹介しています。

絵や写真で予定を伝える工夫
次の予定を絵や写真で見せることも、見通しを持たせるための効果的な方法です。
「公園→おうち→おやつ」のように順番に並べて見せると、今していることの後に何があるのかが分かり、安心して次へ進みやすくなります。
- 手描きの簡単な絵の予定表
- スマホで撮った写真の活用
- 終わった予定に印をつける工夫
わが家では、紙に絵を描いて予定を伝える方法を取り入れていて、言葉だけで伝えるよりも伝わりやすいと感じています。
上手な絵でなくても、子どもに伝われば十分なので、気軽に試してみてください。
手話やジェスチャーを使った伝え方
言葉だけでは伝わりにくい子どもには、手話やジェスチャーを組み合わせる方法もあります。
動きは目で見て理解できるため、視覚優位の子どもにとっては言葉を補う手がかりになる場合があるからです。
- 「おしまい」を表す手の動き
- 「待って」を表すジェスチャー
- 「次はこれ」と指さしで伝える方法
わが家でも手話を使ったコミュニケーションを試していますが、今のところ効果ははっきりとは分かっていません。
すぐに結果が出なくても、子どもに合う伝え方を探し続けることそのものが大切だと感じています。
切り替えにつながる声かけのコツ

目で見てわかる工夫とあわせて、ふだんの声のかけ方を少し変えるだけでも、子どもの動きが変わることがあります。
ポイントは、つい言ってしまいがちな「早くして」を、短く、具体的に、終わりが見える言葉に言い換えることです。

ここでは、わが家で実際に使っている声かけの工夫を、予告・数字・自分で決める・誘い方の4つの視点から紹介します。
事前の予告と約束
切り替えの声かけで一番大切なのは、切り替える直前ではなく、前もって予告しておくことです。
突然「おしまい」と言われるより、先に終わりを知っていたほうが、子どもは心の準備ができるからです。
- 遊び始める前の終わりの約束
- 終わりの少し前の「あと少しでおしまい」の声かけ
- 終わった後の予定の予告
わが家でも、遊び始める前に「これをしたらおしまいね」と伝えておくことを心がけています。
「急に言われる」をなくすことが、癇癪を防ぐ近道になります。
数字を使った短い伝え方
声かけは、一文を短くして、数字を使って伝えるのがおすすめです。
長い説明は途中で分からなくなりやすいですが、「1番目」「2番目」と数字で区切ると、やることの順番がはっきりするからです。
- 「1番目に手を洗います」
- 「2番目におやつを食べます」
- 「3番目に公園に行きます」
数字で区切ると、子どもにとっても次に何をするのかがイメージしやすくなります。
一度にたくさん伝えず、1つずつ順番に伝えることを意識してみてください。
回数や時間を子どもが決める工夫
親が一方的に終わりを決めるのではなく、子ども自身に回数や時間を決めてもらう方法もあります。
自分で決めた約束は納得しやすく、「やらされている」感覚が減るため、切り替えにつながりやすくなるのです。
- 「このおもちゃを5回したらおしまいにして帰ろう」
- 「寝るまでの時間、自分で考えてタイマーを設定して」
回数や時間を決めるときは、親が選択肢を出して子どもに選んでもらうと、決めやすくなります。
自分で決めた終わりは、子どもにとって守りやすい約束になるでしょう。
競争や好きな話題で誘う工夫
なかなか動けないときは、遊びの要素や子どもが好きな話題を取り入れて誘ってみるのもひとつの方法です。
「やめなさい」と言われるより、楽しそうな誘いのほうが、子どもは前向きな気持ちで動きやすいからです。
- 「お母さんと○○まで競争ね」という誘い
- 「おうちでおやつ食べよう」など好きな食べ物の話題
- 「次は公園に行こう」など次の楽しみの提示
ただ、わが家の息子の場合、競争の誘いで動くときもあれば、まったく動かないときもあります。
うまくいかない日があって当然と考えて、いくつかの方法を使い分けるのがおすすめです。
切り替え時の癇癪への対応

どんなに工夫を重ねても、切り替えの場面で癇癪が起きてしまうことはあります。
癇癪が起きたときは、無理に動かそうとしたり言い聞かせたりするより、まずは子どもと周りの安全を確保し、落ち着くのを待つことが大切です。
ここでは、外出先での対応も含めて、わが家で実際に行っている癇癪への対応と、ごほうびの上手な使い方について紹介します。
安全を確保して落ち着くまで待つ対応
息子は癇癪を起こすと、その場でうずくまったり寝転がったりして動かなくなります。
そんなときは、周りに危ないものがないかを確認したうえで、人目がない場所であれば落ち着くまでそばで待つようにしています。
- 周りの危ないものの確認
- 声かけを最小限にする対応
- 子どもが落ち着くまでそばで待つ姿勢
癇癪の最中は言葉が届きにくいため、たくさん話しかけるより、静かに見守るほうが早く落ち着くことも多いです。
落ち着いたら「よく戻れたね」と声をかけることで、気持ちを立て直した経験を認めてあげましょう。
わが家でも、息子が落ち着けたときは「一人で落ち着けて賢いやん」と声をかけるようにしています。
場所を変えて気持ちを落ち着ける工夫
人目が気になる場所で癇癪が起きたときは、静かな場所に移動して気持ちを落ち着けるのもひとつの方法です。
息子が小さいころは、抱っこして別の場所に連れて行くことで、周りを気にせず落ち着くのを待つことができました。

今は体が大きくなってきて、抱っこで移動するのが難しいこともあるんです。
抱っこで移動するのが大変になってからは、普段は「ポテト食べに帰ろう」「公園行こう」など、息子が食いつきそうな話題で気持ちの切り替えを図り、抱っこはどうしてもダメなときの最後の手段にしています。
それでも難しいときは、無理に動かさず落ち着くまで待つことも、立派な対応のひとつです。
感覚おもちゃで落ち着くきっかけづくり
癇癪で気持ちが高ぶっているときは、感覚おもちゃが落ち着くきっかけになることがあります。
引っぱる、握る、伸ばすといった手ざわりや動きに意識が向くことで、高ぶった気持ちが少しずつしずまりやすくなるためです。
- 引っぱると伸び縮みするひっぱりキーチェーン
- 握って形が変わるおもちゃ
- 伸ばして遊べるポップチューブ
わが家では、ひっぱりキーチェーンを渡すと落ち着くことがあり、療育の現場でも、癇癪を起こしている子に渡すと落ち着くきっかけになることがあります。
お気に入りの感覚おもちゃを外出用のかばんに入れておくと、いざというときに役立ちます。
ごほうびは事前の約束で
切り替えができないときに、ついごほうびをちらつかせてしまうこと、わが家もあります。
ごほうびそのものは悪いものではなく、前もって約束しておくごほうびは、療育やペアレントトレーニングでもよく使われる方法です。
- 切り替えの前の約束
- 小さくてすぐに渡せるごほうび
- できたときの具体的なほめ言葉
シールを集めるとごほうびと交換できる「トークン・エコノミー法」や、前もって約束を決めておく「行動契約」といった方法が知られています。
気をつけたいのは、癇癪が起きてから「○○したら買ってあげる」と条件を出すことです。
これを繰り返すと、子どもが「癇癪を起こすと良いことがある」と学んでしまう場合があるといわれています。
切り替えのよくある質問

ここでは、切り替えが苦手な子どもについて多くの親が抱きやすい疑問に、療育施設で働く立場と親の立場からお答えします。
子どもによって合う方法は違うため、いくつかの方法を試しながら、わが子に合うものを探すことを大切にしてください。
すべてを読む必要はないので、気になる質問から読み進めて、毎日の切り替えのヒントにしてみてください。
切り替えが苦手なら発達障害?
切り替えが苦手だからといって、発達障害があるとは限りません。
幼児期の子どもは誰でも切り替えに時間がかかることがあり、苦手さの程度や日常生活への影響を見ていくことが大切です。
切り替えの難しさが強く、毎日の生活で困ることが多い場合は、保健センターや発達相談で相談してみましょう。
ごほうびで誘うのはよくない?
ごほうびを使うこと自体は、悪いことではありません。
大切なのは、癇癪が起きてからではなく、切り替えの前に約束しておくことです。
ごほうびは少しずつ減らしていき、ほめ言葉や達成感に置き換えていけると理想的です。
タイマーを嫌がるときの工夫
タイマーの音が苦手な子どもや、終わりを知らせるタイマーそのものを嫌がる子どももいます。
音の鳴らない設定にしたり、子ども自身にタイマーを設定してもらったりすると、受け入れやすくなる場合があります。
最初は楽しい遊びの時間にタイマーを使い、「タイマー=楽しい」と感じてもらうところから始めるのもおすすめです。
園の先生と共有したいこと
園でも同じように切り替えに困ることがある場合は、家庭でうまくいっている方法を先生と共有しておきましょう。
タイマーの使い方や声かけの言葉を家庭と園でそろえると、子どもが混乱しにくくなります。
反対に、園でうまくいっている方法を教えてもらうことで、家庭での新しいヒントが見つかることもあります。
成長とともに切り替えは上手になる?
成長とともに、切り替えが少しずつ上手になっていく子どもは多くいます。
言葉や時間の理解が進むことで見通しを持ちやすくなり、自分なりの切り替え方を身につけていくことがあるからです。
ただし特性によっては大きくなっても苦手さが続くこともあるので、無理に慣れさせるより、その子に合う工夫を続けていきましょう。
親がイライラしてしまうときの対処法
毎日の切り替えに付き合っていると、親がイライラしてしまうのは自然なことです。
イライラしたときは、深呼吸をする、その場を少し離れるなど、親自身が落ち着く時間をつくることも大切です。
ひとりで抱え込まず、家族や療育の先生、相談窓口に頼ることも考えてみてください。

まとめ|見通しが切り替えの味方

子どもの切り替えの苦手さには、見通しの不安や強い集中、時間の感覚のつかみにくさなど、子どもなりの理由があります。
タイマーや絵、数字を使った伝え方で終わりと次の予定を見えるようにすると、少しずつ切り替えやすくなっていきます。
- 見通しの不安など切り替えが苦手な理由
- タイマーや絵で見せる終わりと次の予定
- 数字を使った短い声かけ
- 子ども自身が決める回数や時間
- 癇癪時の安全確保と事前のごほうびの約束
まずは今日、次の切り替えの場面で、終わりの時間を前もって伝えてみることから始めてみませんか。
うまくいかない日があっても大丈夫なので、親子のペースで少しずつ試してみてください。
毎日の「おしまい」が、親子にとって少しでも穏やかな時間になることを願っています。



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